2025年9月

こんにちは
9月になりましたので法語掲示板の今月のことばを更新しました
先週テレビでジブリ映画「もののけ姫」が放送されていましたが、今回はその作中に出てくるセリフです

生きることはまことに苦しくつらい
世を呪い、人を呪い
それでも生きたい

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作中に登場する、製鉄を生業とする集落
そのはずれで全身に包帯を巻いてひっそりと住み、石火矢作りを担っている人々はハンセン病患者であったと言われています
これは、その人々の長、もう寝たきりなったであろう老人のセリフです

宮崎駿監督は実際に彼らがハンセン病患者であると明言してはいないのですが、もののけ姫の製作中にハンセン病療養所の多磨全生園によく訪れ、園の中の納骨堂に参っていたようです
この納骨堂には、園で亡くなった方のお骨が納められています
差別に苦しみ失意の中で亡くなった人、病が治っても帰る場所がなく孤独に亡くなった人
そういった方々に思いを馳せながら、監督は石火矢作りの人々を描いたのではないでしょうか

生きているだけで身体は病に蝕まれ、世間からはその見た目で忌避される
何もかもを怨み呪った長は、どれだけ苦しくても「生きたい」という欲求は手放せなかった
彼だけではありません
生きたいのに苦しい、苦しいのに生きたいという矛盾は誰でも持ちうるものです
いのちの輝きというものは必ずしも美しいものではなく、そういった苦悩から生まれる側面もあるのでしょう
実際に患者と交流し、そして納骨堂に真摯に手を合わせた宮崎駿監督だからこそかける、重々しい言葉だと思いました

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